SSは地下水の成分に含まれます。地下水は地中で土壌や砂礫の層によって自然のろ過をうけているため、河川水などと比較して懸濁物質を含むことはほとんどありません。しかし一般に地下水の採取は井戸を通して行うため、採取試料に井戸に起因する懸濁物質(水垢、配管のさびなど)が混入する可能性があります。
地下水の環境基準に定められた物質は26種類あり(2006年9月時点)、法に基づき定期的に検査が行われています。懸濁物質を含む井戸水(地下水)試料の場合、その測定結果への影響は、懸濁物質の量や種類、測定項目によっては十分考えられます。特に影響が出る可能性が考えられるのは金属イオンの場合です。
公定法(JIS-K0102)では測定前にろ過の操作はありません。化学の分野では、操作上の定義として0.45μmのろ紙により、溶存、懸濁を区別していますが、公定法では区別はありません。従って、懸濁物質を含む試料の場合、懸濁物質から溶出してくる金属を合わせて測定することになります。この結果は、地下水の本来の水質ではないことを理解しておく必要がありますが、公定法に基づく測定結果としては正しいということになります。
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