地面を掘っていくと土が徐々に湿ってきます。この土の湿り具合(=水分量)は深くなると多く、ある深度で土粒子間のすき間(=間隙(かんげき))が水で満たされた領域になります。土が湿っていて、間隙が水で満たされていない領域を「不飽和帯」、土粒子間の間隙が水で満たされた領域を「飽和帯」といいます。
海岸の砂浜で白く乾いた砂を掘ると徐々に湿ってきて砂の色が黒っぽくなります。やがて水(海水)が見えて砂が崩れやすくなり掘り続け難くなるという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか? 白い砂と湿った砂の領域が、いわゆる不飽和の状態です。
不飽和帯における土粒子の間隙の水は、重力に従って下方へ(とてもゆっくりですが)動くものと、地下水面から下の飽和帯の地下水が毛管力によって上方へ吸い上げられたものと、二通りがあります。後者を毛管水帯と呼び、不飽和帯と考えています。(間隙が水で満たされているようにも見えるために飽和帯と考える説もあります)毛管水帯は地下水面の上下(地下水位の深度が浅くなったり深くなったりすること)により、その長さが異なる場合があること(ヒステリシス)が知られています。また土粒子が細かければ細かいほど、毛管水帯の長さが長いことも特徴の一つです。
私たちが利用している地下水は、地下水面から下の領域、飽和帯の水となりますが、地下水の源となっているのは雨です。地表に降った雨の一部は、この不飽和帯を重力に従って下へと浸透していきます。このとき、雨の中の不純物や病原菌などの多くを取り除いてくれます。つまり、不飽和帯は自然のフィルターなのです。不飽和帯で濾過された地下水がやがて地下水面に到達し、帯水層を涵養し、私たちが使う地下水資源となります。
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