近年の名水ブームにより、名水や湧水を紹介した本は全国で非常に多く出版されています。各県や地域ごとに湧水箇所とその周辺状況を紀行風に記述し、湧水めぐりをする方々ためのガイドブックとして重宝しています。しかし、多くの本は、写真と地図と紀行文で構成され、名水・湧水の水質や湧出機構などの科学的な記載が含まれているものは、非常に少ない状況にあります。そんな中にあって日本地下水学会編:「名水を科学する」(技報堂出版 1994)はそのような要望に応えた数少ない本で、全国の名水について水質分析結果などの解説があり科学的な見地からの紹介がされています。日本地下水学会誌にシリーズものとして掲載されたものを取りまとめたもので、名水について詳しく知りたい方にとっては、有用な内容となっています。この本はその後、日本地下水学会編:「続 名水を科学する」(技報堂出版 1999)、日本地下水学会編:「新 名水を科学する」(技報堂出版 2009)が続いて発刊されていることから、多くの方が名水に興味を持たれていることが知れます。最近出版された本では、高村弘毅著:「東京湧水 せせらぎ散歩」(丸善 2009)があります。著者は、日本地下水学会会長を歴任された地下水研究者であり、東京の湧水についての紹介文と共に水質分析結果も掲載されています。
全国各地の名水や湧水の本についてはすべてを網羅することはできませんが、都道府県図書館にあるものや主な著書について各地域別に記すと次のようになります。(発行年順)