地下水の人工涵養についての本は余り多くなく、ここでは代表的なものを取り上げます。 地下水人工涵養の現況については、少し古いが、建設省河川局河川計画課編:地下水人工かん養の現況と課題(山海堂 1988)にまとめられています。社)全国鑿井協会・社)地下水技術協会による発行で、昭和61年10月30日に開催された地下水セミナーの内容を記されたもので、地下水人工涵養の意義・問題点・諸外国おける例などが紹介されています。
日本での人工涵養の例としては、肥田登著:扇状地の地下水管理(古今書院 1990)があります。秋田県の六郷扇状地を対象として地下水に関する問題を徹底的に追求した内容で、地下水環境について、自然科学的および社会科学的な面から人工涵養や地下水利用、地下水管理のあり方などを記述した実践的な本となっています。日本地下水学会においても、21世紀の地下水管理ということで、日本地下水学会編:雨水浸透・地下水涵養(理工図書 2001)が出版しています。地下水学会誌に連載された誌面講座「雨水浸透と地下水環境」に加筆・訂正および新たに書き下ろしを行って編集したもので、水循環の基礎、地下水涵養の観測方法やデータ解析・分析方法・数値解析、都市部の地下水涵養、人工涵養、地下水涵養研究といった構成の本です。技術者や大学での研究を行う人にとって参考となる書です。このほかにガイドラインとしては、アメリカ土木学会著 肥田ほか訳:地下水人工涵養の標準ガイドライン(築地書館 2005)があります。アメリカの標準ガイドラインですが、地下水の人工涵養を行う上での参考となるものです。