ブックリスト

アジアの地下環境―残された地球環境問題―

谷口真人編

学報社(2010)

紹介コメント

この半世紀以上の間に起きた、アジアモンスーン地帯に立地する大都市個別 の発展と地下環境変化について先進的に事象を経験し立ち直ってきた東京・大阪を踏まえ て近隣諸国の台北、ソウル、マニラ、ジャカルタ、バンコクの事象変化と対応状況及び今 後の進め方への提案を含めた力作である。

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地下水 科学新書20 「地下水」

吉村信吉著

河出書房(1942)

紹介コメント

第二次世界大戦中の昭和17年に河出書房の科学新書の1つとして一般向きに執筆された本で地下水を主とし温泉についても少し記載されている。記述はやや専 門的(理学)であるが、戦前の一般書としては唯一の書籍であり、図も所々に挿入され理解をし易くしてあり、当時の地下水事情を理解には一読する価値がある。

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「水を探る科学者」

蔵田延男著

柏葉書院(1948)

紹介コメント

第二次世界大戦後すぐの昭和23年に一般向きに話文で書かれた本で、紙質が悪い状態ではあるが内容は現在でも通じるものが多くある。私たちの生活が水に依 存しているのかを農業や工業など産業や、私たちの飲料、河川水やダム、井戸や地下水という流れで具体的に記載されている。事例も日本だけでなく中国や蒙古 などのことも著者の体験を踏まえ多く記載されている。著者は、水理地質の専門家であり、後半では、地下水のしくみとして水理地質構造的なことや電気探査や ボーリングによる地下水調査についても、いろいろなものに例えながら分かりやすく記載がされ一読する価値がある。

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ガーデン・シリーズ5 井戸・滝・池泉

上原敬二著

加島書店(1958)

紹介コメント

著者は東京農大の教授で、造園の専門家である。この本は庭園設計に関するものであるが、地下水に関連する項目となる井戸については、種類や名称などを図を 多く挿入して分かりやすく表現している。井戸来歴など歴史的な内容もあり参考になる。池泉については、湧水ではなく石組に関する事柄が詳説され、流水時の 漏水に関する注意なども記載されている。

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地下水 そのうもれた資源をいかすコツ

山本荘毅・柴崎達雄共著

畑地かんがい研究会 刊(初版 1959、改訂版 1966)

紹介コメント

著者らは序文で執筆動機について「地下水に関する正確な知識の要求される今日、誰にでも分かり易く、面白おかしく書いたものが必要でないかとすすめられて 筆をとっただけである。」と記載されているが、内容は科学的に調べられたものを写真や図を多く挿入して分かりやすく書かれており、今読んでも十分に面白く 興味を持つことができる。著者は当時の農林省資源課に勤務されて地下水開発の最先端に立ち業務をされおり、その成果がふんだんに盛り込まれ込まれている。 その後、お二人は大学教授として教鞭をとられるようにもなった。本書の第1部は山本先生、第2部は柴崎先生が記述されている。現在より50年以上も前の書 籍のため、その後調査後の技術進歩に伴い更に新たな成果が出てきた部分もあるが、地下水全般を学ぶ者にとっては貴重な本である。

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日本の地下水(「地下水の科学」シリーズ1)

蔵田延男著

実業公報社(1962)

紹介コメント

著者は、農林省開拓局、開拓研究所、通産省地質調査所にて地下水の調査・研究を行ってきた地下水のオーソリティである。この本では気軽に地下水について知 ることができるように当時においては身近であった井戸の話から、地下水のしくみ、日本のいろいろな地域の地下水のようす、更に地下水に関連する問題などを 写真や図表を多用して分かりやすく解説した入門書である。出版してからすでに50年近く経過しているため内容が古くなっているものはあるが、地下水の基礎 的なことを知るには十分な本であり、是非、若い学生さんにも読んでほしい書である。この本は、地質調査所が明治15年(1882)に創立してから80周年 を記念するものとして、「地下の科学」シリーズとして刊行したもので、この本はその最初のものである。発行所はその後、実業公報社からラテイス(発売元 丸善)と変わることになるが、地下水に関係するものとしてはシリーズ15に「水井戸のはなし」(村下敏夫著)もあり合わせて読んで頂きたい。

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地下科学シリーズ15 水井戸のはなし

村下敏夫著

ラテイス(1968)

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通商産業省工業技術院地質調査所が監修する地下の科学シリーズの1冊で、著者は地下水調査に20数年従事された中で、水井戸や湧泉にまつわる話や井戸掘削 に関わる話を見聞きされたことを「地質ニュース」に2年ほど掲載されたものを1冊にまとめたもので、1項目が6ページ程度にコンパクトにまとめられどこか らでも読める楽しい本である。

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井戸のたわごと

酒井軍治郎著

北方新社(1973)

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この本は、陸奥新報社からの依頼で新聞紙上に連載したものを1冊にまとめて上梓されたもので、副題には---地下水と共に四十余年---と記されているよ うに、著者の45年余りになる地下水研究にまつわるさまざまな思い出話が記されている。はじめにでは、学生時代にすでに地下水学を研究しようと志し、特に 誰かの指導を受けたわけでもなく、大学で講義も聞いたことが無く、独学でその道を極め、目標として「日本に地下水学会をつくること」「地下水学の学問体系 をつくること」「国際地下水学会を日本で開催すること」を掲げて、それをすべて実現するために努力され実際に実現することができたと記されている。日本の 地下水学にとって大きな役割をされたことが知れる。そんな偉大な業績を残された酒井教授の履歴書的な随筆で、どこから読まれてもよい構成となっているの で、気にいたところから読んで頂くことで何か得るものがあるのではないかと思う本である。

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略奪された水資源 地下水利用の功罪

柴崎 達雄 著

築地書館(1976)

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本書は、地下水学の研究に大きな貢献を残しただけでなく、第一線で活躍する多くの地下水技術者の指導者でもあった柴崎達雄氏が、農林省技官を辞めてフリー の地質技術者として活動していた際に、地下水問題に関する氏の“想い”をつづったものである。データを謙虚に見つめ、自然・社会問題の解決に全身全霊を込 めて取組む姿勢は、今の時代であっても新鮮に感じられる。若手技術者・研究者には是非一読いただきたい図書である。

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神秘の水と井戸

山本博著

学生社(1978)

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著者は考古学の立場から井戸の研究を行っている大阪学院大の教授で、長年の井戸の研究内容を分かりやすく解説したのが本書である。この本では、井戸は井筒 と水から成り、その水には農耕や飲料など無数の用途がある他に、神秘な働きがあり神聖視され、古代人がどんな神秘のはたらきを認めてきたかについて解明し ている。所々に写真も挿入されているので理解しやすい。

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