ポンプ随想 井戸および地下水学入門
大島忠剛著
信山社(1995)
紹介コメント
日本では、水道の普及が進み手押しポンプの需要は少なくなっているが、現在も現役で使用されているところもある。第1章では、そのポンプについての概要と 共に井戸や地下水に関する話題について述べられている。海外ではこれから浅井戸ポンプが普及しようとする国々もあり、その紹介もされている。第2章のポン プ随想では、ポンプと生活文化・風俗に関する内容を随筆風に記載され、どこからでも読めるものとなっている。第3章は、専門的な地下水学に関する理論や方 程式などかなり専門的な内容となっており、大学生や専門家にとって役立つものである。参考文献も紹介され、さらに興味を持って調べてみる人の便宜を図って いる。著者は、雑学として誰かの役に立てればとの回想をしているが、ポンプについて様々な知識が網羅され役立つ本となっている。
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地下水のはなし
(財)熊本開発研究センター製作
(財)熊本開発研究センター(1995)
紹介コメント
この本は、一般向けの地下水の解説書であるが、製作が(財)熊本開発研究センターとなっているように、熊本の地下水を中心とした内容の100p余りの小冊 子である。熊本地域は豊かな地下水資源に恵まれているが、その仕組みについてと、地下水の恩恵を受けているが、その水源となる涵養域の重要性を含め、その 保全についても考慮していくことの大切さについて解説している。特に地下水に対する意識といって面から熊本と福岡での生活用水に対する違いについても示し ている。さらに住民一体となった東京都墨田区や愛知県豊田市の事例も紹介している。地域の地下水に関する書籍ではあるが、地下水の大切さを説いた良書であ り是非読んで頂きたい
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地下の環境を守るために 井戸と水みち
水みち研究会著
北斗出版(1998)
紹介コメント
著者の「水みち研究会」は湧水や地下水の保全に関心を持つ団体や個人が集まって構成されており、1988年より、東京の武蔵野地域で井戸調査を開始し市民 自らが足元の環境を考えてゆくための調査研究活動を行っている。この本は、1992年に出版された「水みちを探る---井戸と湧泉と地下水の保全のため に」(けやきブックレット)の続編で前著の後に知りえた情報を加味して作成されたものである。一般向きの本であるが、市民活動としての具体的な水みち調査 の活動成果がふんだんに盛り込まれており、その熱意を感じる1冊である。水の文化面についても記載も多く興味が湧く内容構成となっている。
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ふくしまの地下水
中馬教允著
歴史春秋社(2001)
紹介コメント
この本の著者は福島大学教授で地元福島の地下水や地盤環境の研究をされており、この 本ではその研究成果を紹介している。カラー写真が巻頭16pあり説明も図表も多く、分か りやすい構成となっている。前半の第一部では、一般的な地下水の概説と水理地質構造の 話など地下水機構となり、後半の第二部では人間活動の影響として地下水汚染と地盤沈下 の問題について、福島県内の実態を中心に解説している。なかなか各地の地下水の実態を わかりやすく解説した書籍は少ない中で、このような本が出版されていることは喜ばしい ことであり、この本を読んだ人が地下水に対して正しい知識を持ち、地下水を大切にして もらえるようになることが期待される。
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温度を測って地下水を診断する
竹内篤雄・中山健二・渡辺知恵子著
古今書院(2001)
紹介コメント
竹内篤雄さんの前著書「温度測定による流動地下水調査法」の姉妹編とも言うべき本。 著者らが進める「1m 深地温探査法」を定着する基礎になった自然界に発生する地下水の局 所的流動現象についてこれを「水ミチ」と称して、帯水層に存在する地下水と区別して取り扱う事の必要性を会話形式で解いている。
「水ミチ」の発生する場所としては、地滑り地、堤体盛土の基部を流動する地下水の脈 状の流れ、帯水層内部で発生している堆積環境の異なる堆積物間の地下水流動などを紹介 すると同時に、これらの「水ミチ」を見つけだす調査方法として平面的には「1m 深地温探 査法」を、鉛直的な多層に及ぶ流動層の検出には「多点温度検層法」を発明してこれらの 調査結果から水ミチの存在や帯水層内部での堆積物層間に発生する流動層の存在を明らか にし、理論的な解釈を加えた。
地質・地下水技術者にはよりどころの多い技術書である。
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水循環における地下水・湧水の保全
東京地下水研究会編
信山サイテック(2003)
紹介コメント
東京都内の地形・地質、地下水に関する調査研究又は行政実務に長年携わってきた著者らが地下水環境の背景を紹介するとともに地下水・湧水の調査手法や問題 点、今後の水環境保全の中における地下水・湧水の役割や行政と住民との関り方などについて記した書である。「地下水とは何か」から始まり日本各地の湧水の 紹介や地域のまちづくりに地下水・湧水が生かされている事例の紹介など、他の地下水に関する書籍と比べると一風変わった内容となっており、これから地下水 を学ぼうとする人たちにとっては幅広く学ぶことのできる入門書的な1冊である。
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農を守って水を守る 新しい地下水の社会学
柴崎達雄編著
築地書館(2004)
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熊本市が位置する阿蘇山外輪山から有明海にいたる西麓台地一帯では、人口約100 万人 の生活用水すべてが地下水でまかなわれている。本著では、この豊富な地下水の背景にあ る白川地下水バイパスについて歴史的観点を交えてわかりやすく解説している。また、著 者の柴崎氏は地下水問題の解決のためには自然科学と社会学を融合が重要と説く。本著は その実践本としても読むことができ、地下水管理に関する平易かつ適切な解説がなされている。
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拡大する土壌・地下水汚染
畑 明郎 著
世界思想社(2004)
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この本の著者は福島大学教授で地元福島の地下水や地盤環境の研究をされており、この本ではその研究成果を紹介している。カラー写真が巻頭16pあり説明も 図表も多く、分かりやすい構成となっている。前半の第一部では、一般的な地下水の概説と水理地質構造の話など地下水機構となり、後半の第二部では人間活動 の影響として地下水汚染と地盤沈下の問題について、福島県内の実態を中心に解説している。なかなか各地の地下水の実態をわかりやすく解説した書籍は少ない 中で、このような本が出版されていることは喜ばしいことであり、この本を読んだ人が地下水に対して正しい知識を持ち、地下水を大切にしてもらえるようにな ることが期待される。
湧き水めぐり1(関西地学の旅)
湧き水サーベイ関西編著
東方出版(2006)
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近畿地方に残存する約400箇所の湧水の一部について紹介した書である。「湧き水サーベイ関西」のメンバーが実際に現地に赴き、簡易水質(水温・pH)や 鉄、全硬度の測定を行い地点ごとにまとめている。本書で取り上げられている湧水は誰でも水を汲むことのできる地点ばかりなので、この書を片手に散策するこ とが可能である。また「周辺たちよりスポット」として温泉やお菓子屋さんなども紹介されているので幅広く楽しめる一冊となっている。
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入門シリーズ34 地下水を知る
地下水を知る編集委員会編集
地盤工学会発行(2008)
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地盤工学会の前身である土質工学会によって「地下水入門」が1983年に刊行された。約12名の執筆者により、工学系の技術者を対象として書かれた力作で ある。「地下水を知る」は先の入門書の後に色々な分野で開発された新しい事項について8名の執筆者によって記述されている。興味を持ちやすいように暮らし の中の地下水、地下水の開発、コラムやプロ目にも興味ある話題を掲載し飽きさせない工夫がされている。地下水に関わる技術者にはぜひ一読をしてほしい一冊である。
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