白子川湧き水聞き取り調査
白子川流域環境協議会 著
白子川流域環境協議会 発行(初版2000)
紹介コメント
この本は、白子川流域の練馬区・板橋区・和光市の市民と行政関係者が一緒になって「湧き水聞き取り隊」(1班数名ずつで全7班)を結成し、湧き水のあるお宅を訪問して水温や水量などを測定すると共に湧き水の状態や使用状況などを聞きそれを取りまとめた小冊子です。
うるおいのある水辺として白子川流域の湧き水を貴重な財産として大切していくために取り組まれた活動報告であり、生活者の生の声を聴いた貴重な報告となっています。
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沖縄古代の水の信仰
大井 浩太郎 著
縄文教出版社 刊(初版1973)
紹介コメント
著者は沖縄で教員をされていた方で「池間島民俗誌」「沖縄の地誌」などの著書があり、沖縄県史編集委員もされ沖縄の民俗についての専門家です。表題の通り、水の信仰についた内容で、冒頭に「沖縄の人々は古来水の民であった。水の恩恵をどこよりも多く受けている人々は、水を神聖なものとして信仰し、世間では人事の吉凶をすべて水の信仰によって解決をしようとした。・・・」と記述されています。沖縄には井戸や泉が多くあり、本文中にも「水の恩徳を仰ぐことの深かった素朴な住民は、泉の出現を神の御利益に結びつけて考えようとした。こうして先祖は初め川の流れや、地下水の自然な露頭によって飲料を得ていて、水の得やすい場所を探して集まり住んだであろうことは、特に泉の場合に考えられる」と地下水と生活の密接な関係が述べられ、地名についても伊豆味(泉)、大見謝(オオンジヤー大泉)、大宜味(オジミ大泉)、大井(オオンジヤー)、泉川(イズンジヤー)などの泉や井がついたものが多いことも紹介されています。
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地下水・湧水を介した陸-海のつながりと人間社会
小路 淳・杉本 亮 富永 修編
恒星社厚生閣 刊(初版2017)
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この本は、2016年3月26日に東京海洋大学品川キャンパスで開催されたシンポジウム 「地下水・湧水を介した陸-海のつながり:沿岸域における水産資源の持続的利用と地域社会」の内容をもとに、地下水と湧水が沿岸海域の生物生産や生物多様性に作用する仕組みについて、学際的な研究事例をわかりやすく紹介したものです。特に余り知られていない海底湧水の動態と水産資源や地域社会とのつながり・取り組み、更には安曇野や小浜、別府の地下水や湧水を題材として学際的な研究を解説しています。
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大分の名水50選 改訂版
取材・撮影 淡居 誠
おおいたインフォメーションハウス 刊(初版2011)
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この本は、2003年に出版された「大分の名水50選」の改訂版です。前書が出版されてから10年近く経ち、場所が同じでも新たに整備されたものや前書に掲載されなかった名水もあり、それらについて最新情報を取材して書かれたものです。取材者の感じたままを綴り写真を撮ったもので、分かりやすい案内書となっています。
大分県は温泉が有名ですが、個性豊かな湧水箇所も多くあり、本書ではカラー写真を多く掲載することで周囲の風景や雰囲気を伝えています。各地区の湧水の紹介の後に、取材日誌として取材日とその時に感じた事柄がまとめられているのも特徴です。
本書の最後に取材で強く感じたこととして「水を汲みに来る人は、水だけを汲みに来ているのではなく、景色や周辺の雰囲気が心をリフレッシュさせている」と述べられているのが印象的です。また、本文の中には、大分名水マップも掲載され散策に出かけるときに参考となります。
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羊蹄山麓の自然水 本物の美味しい水
穂積 忠彦・水沢 溪 著
健友社 刊(初版1985)
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著者らは「東京・美酒名酒の飲める本物の店」などの著作もあり、お酒についてとても詳しい方々(お酒の専門家とライター)です。お酒造りにも関係の深い「水」の中でも、本当に美味い水はどういう場所でどういう状況のもとに生まれたのかを実際に知ってもらいたいとの思いが伝わる本です。特に“神の水”といわれる羊蹄山麓に湧き出す地下水については、現地での取材により、“神の水”は水温が年間を通じて5.5℃前後で水質も良く美味い水であることを紹介しています。日本各地の水問題などにも触れ、水飲み水は清浄な水を飲まなければ駄目で、日本の水道水は「飲めます」と外国人に胸を張って言えるほどでないことを知ってほしいとも語っています。
「お酒と水の話」では、硬度の高い水で仕込んだビールや清酒は発酵が旺盛なため男性的な酒となり、軟水では発酵が穏やかに行われるので女性的な酒質になり勝ちであるとのことです。
巻末には、北海道南西部に交通案内があり羊蹄山山麓の湧水に訪れる案内もあります。ただ、書かれた当時の情報のため、これから行かれる場合は最新情報で置き換える必要があります。
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日本名水紀行 巻一 西日本編
重里 俊行著
三恵社刊(初版2015)
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名水の案内書で、西日本各地の気候風土の特色や新鮮で美味しい食べ物などを取材され、きれいなカラー写真で紹介されています。立寄り、アクセス、食楽のMEMOやNOTEなどが本文中にちりばめられており楽しい読み物となっています。 なお、本書の目次では第四章がなく、本文では第十章がない等の誤りがあったので、ここに記載するに当たっては、本文に合わせた目次とし、第十章が無い記載としたことを注記します。
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「天然水の森」を科学する
サントリービジネスエキスパート(株)水科学研究所 著
J-FIC(2013)
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サントリーは、その生命線とも言える地下水を守るため、13都道府県16か所に広がる7,600haの森林で、同社の基幹事業として水源涵養活動を行っている。この活動では、水文、植生、林学のみならず、土壌、生物、防災、山村再生など、多様な分野の専門家との共同研究が進められている。本書はこれらの研究成果の一部を、研究テーマ毎に整理したものである。国土の約68%が森林である日本は、世界第二位の森林大国である。森林が有する自然資本としての多様な機能を保全し、有効に利用することが日本社会の持続的な発展に欠かせないとの認識が高まっている。本書で紹介された幅広い研究成果は、今後各地で行われる森林保全等の活用にも極めて有用である。
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街歩き・里歩きの「名水・湧水散歩」
南 正時 著
自由国民社発行(2013)
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全国の名水・湧水を写真、アクセスデータ、解説付きで紹介している非常に素敵なガイドブック。付近の見処・立寄りスポット等も書かれてあり、この本を片手に全国の素敵な湧き水巡りをしたくなる一冊です。
地下水学会がイベントを開催したことがある湧水、地下水余話で紹介したことのある場所も掲載されています。
羊蹄の吹き出し湧水【北海道】:2009年秋季講演会(札幌市)
六郷湧水群【秋田県】:2001年秋季講演会(秋田県六郷町)
久留里の上総井戸【千葉県】:湧水めぐり イン 君津
柳の井戸【東京都】:都内湧水めぐり-1 -有栖川宮エリア・目黒エリア-
清正井【東京都】:
目黒不動の独鈷の滝【東京都】:都内湧水めぐり-1 -有栖川宮エリア・目黒エリア-
等々力渓谷【東京都】:都内湧水めぐり-3 -都内最大級のオアシス 世田谷等々力渓谷 を訪ねて-
深大寺の湧水【東京都】:「地下水余話」バックナンバー(2014年)深大寺 湧水井戸の手水
お鷹の道・ハケの道湧水【東京都】:
ママ下湧水・矢川緑地【東京都】:
三島湧水群・柿田川湧水【静岡県】:
越前大野の御清水【福井県】:2015年秋季講演会(福井県大野市)
安曇野湧水群【長野県】:
松本城下町の井戸群【長野県】:1997年秋季講演会(松本市)
島原湧水群【長崎県】:2016年秋季講演会(長崎市)
南阿蘇湧水群【熊本県】:
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地文学
佐藤傳藏 著
日本地質学会環境地質研究委員会発行(1992、復刻版)
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本書は明治35年(1902)中学校等のいわゆる理科の教科書として当時の文部省による内容指定に沿って佐藤傳藏が編纂したものを、平成4年(1992) に日本地質学会環境地質研究委員会が再生・復刻したものである。同委員会も指摘しているが、百年以上前に既に日本国民の必要な知識として地球環境の項目に 灯火が点り、その中に地下水に関わる知識も位置づけられていた。
資源及び環境要素として近年地下水の重要性が増しているにも関わらず、学校教育では“ゆとり教育“の名のもとに地下水の項目は教科書から姿を消し、地下水に関する知識は現在の日本国民の頭から欠如してしまっている。
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黄河の水環境問題―黄河断流を読み解くー
谷口真人編
学報社(2010)
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福嶌義宏、谷口真人編著者により「アジアの地下水環境」よりも2 年早くに出版されて いる。目次を見ても章、節、項目が豊富であり著者らの各章立て、節、項に取り組む視点 とそれらについて簡潔に整理している点がすぐれている。黄河の水環境問題が、巨大国家 中国の近代発展に大きく影響してきたこと、また今後も影響し続けるであろう問題点を如 実に言い表している図書である。
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