井戸水の消毒(殺菌)には、水道水やプールの消毒と同じように塩素(次亜塩素酸ナトリウム溶液)を用います。揚水した井戸水に塩素濃度が一定になるように自動的に滴下する装置が市販されています。価格は10万円前後します。ただ、この自動滴下装置の運転には、薬品の補充だけではなく、目詰まりなどのチェックなどが必要なため、日常のメンテナンスが不可欠です。このため、揚水量が少なく、日間変動が大きい一般家庭での設置例は少なく、自家井戸を、野菜の洗浄、食品製造(豆腐)などに使用する小規模事業者などで主に設置されています。
もう一つの殺菌方法として、紫外線を利用する方法(紫外線ランプによる照射)がありますが、殺菌効果の点で問題があり、水道法では使用が認められておりません。
一般細菌は、健康被害がでるような病原性の細菌ではありません。水に含まれる病原性の細菌には、赤痢菌、コレラ菌、病原性大腸菌(O157など)など数多く存在します。これらの細菌を個別に検査することは、検査技術、日数、費用などの点で困難です。このため、「一般細菌が検出される井戸水には、病原性の細菌が含まれる可能性がゼロではない」という観点から、比較的容易に検査できる「一般細菌」が検査項目として水道法では採用されています。このように一般細菌の検出、イコール健康被害ではありませんが、安全を考えて飲用利用は避けるべきです。
なお、新しく掘削した井戸や長期間使用していなかった井戸の一般細菌数は、揚水を続けることによって低下することがしばしば認められます。時間をかけて揚水を行い、改めて水質検査を受け様子をみることも一つの方法です。
なお、ご質問に対する回答は、あくまで回答者個人の見解です。
【関連ある質問】
深度100mの深井戸から一般細菌が検出されることはありますか?
一般細菌の水質検査が水道法水質基準(100/ml)より大幅に高い井戸水は使用できますか?
水質検査で大腸菌が基準以上の地下水をお風呂や水洗トイレ等で使用すると問題ありますか?
井戸をしばらく使用しないと、井戸水に大腸菌等が発生する等で水質が悪化するのですか?